『幸せになる勇気』も簡単にまとめてみた
こんにちは。
うっちーです。
先日の『嫌われる勇気』に続き、
『幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えⅡ』を読みました。
『嫌われる勇気』まとめ記事はこちら↓
前作『嫌われる勇気』がアドラー心理学の地図ならば、『幸せになる勇気』はコンパスのような存在だと、あとがきで岸見一郎氏が語っています。
その言葉が物語るように、本書は理解と実践が難しいとされるアドラー心理学を日常生活に落とし込み実践するための助けになるような構成になっています。
アドラーの教えを日常で試しやすいように、今回も本書の内容をおおまかにまとめてみます。
※一部ネタバレ要素が含まれています。ご注意ください。
テーマは「自立」
最初にこどもたちの教育の目的は「自立」であると語り、
最後にも愛とは「自立」であると語ります。
そして自立に必要な「尊敬」「信頼」そして「愛」についてのアドラーらしい痛快な理論が展開されています。
また、前作で登場した3つのタスク「仕事のタスク」「交友のタスク」「愛のタスク」についても詳しく説明されており、より実践にそくした内容になっています。
教育の目的は「自立」 そのためには「尊敬」が必要
こどもへの教育の目標は知識や教養などを身につけ、最終的に人間としての「自力」を援助することだとアドラーはいいます。
アドラー心理学で教育を語るとき、教育は他者(こども)の課題への介入なのではないかという疑問がでてきます。
しかしアドラーのいう教育とは、『自分の人生は、日々の行いはすべて自分で決定するものなのだということを教えること。そして決めるにあたって必要な材料ーたとえば知識や経験ーがあれば、それを提供していくこと』です。
つまり教育とはこどもの課題への介入ではなく、こどもが自らの課題に立ち向かうために必要な知識などを与える援助なのです。
では教育がこどもたちの自立にを目標とした援助だとしたら、そのはじめの一歩は何になるのか。これに対するアドラーの答えはこうです。
まずこどもたちを「尊敬」すること。
尊敬とは、人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のことである。
尊敬とは、その人が、その人らしく成長発展していけるよう、気づかうことである。
(心理学者 エーリッヒ・フロム)
フロムの言葉のとおり、尊敬とその人のはありのままの姿を受け入れ、その人らしい成長を援助することなのです。
そして尊敬を示す具体的な方法として、「他者のの関心事」に関心を寄せることをあげています。
『他者の目で見て、他者の耳で聞き、他者の心で感じる』のです。
『もしもわたしたちがこの人と同じ種類の心と人生を持っていたら?』と考え、相手と同じ立場に立って同じ課題に直面することで相手に「共感」することができるようになります。
それを見たこどもは、自分をこども扱いするのではなくひとりの人間として向き合ってくれている、つまり「尊敬」されていると感じるのです。
そしてこれはこどもに対してだけでなく、いかなる対人関係においても重要なプロセスになります。
叱ってはいけない、ほめてもいけない
アドラーは賞罰教育を否定しています。
教育する際に叱ってもほめてもいけないと言います。
その理由を理解するためには、アドラーのいう「問題行動の5段階」の内容と目的を知る必要があります。
第一段階の「称賛の欲求」を満たすために努力をしたが達成できなかったり、努力する根気がなかったりして称賛を得られなかった場合、第二段階の「注目喚起」へうつります。
いいことをして注目されようとする第一段階とは違い、第二段階では先生をからかったりいたずらをすることで周りの注目を集めようとします。
ここでの注目は叱られることを含みます。
つまり第二段階では周りに叱られることまで計算された行動なのです。
叱ることで相手の用意したリンクにあがり、相手の問題行動をより助長することになります。
これが、アドラーが叱ることを否定する理由です。
問題行動の目的はすべて共同体での特別な地位を獲得することです。
問題行動をエスカレートさせないためにも、人は特別である必要はない、ありのままで価値があるということ尊敬を示すことで教える必要があります。
ではアドラーなぜほめることも否定するのか。
その理由を本書ではこう説明しています。
『ほめることは「能力のある人が、能力のない人に下す評価」であり、その目的は「操作」である(中略)「ほめられること」を目的とする人々が集まると、その共同体には「競争」が生まれます。』
一定の行動や成果を残した人をほめることは、他者を評価することです。
他者を評価することで上下関係が生まれます。また評価される者どうしの競争も生まれます。
そしてその結果、他者に自分の評価を任せることになります。
はじめに教育の目的とは「自立」であるといいました。
しかし他者に自分の評価を任せてしまうことは「依存」です。
自立とは、自分の価値を自ら決定すること
依存とは、自分の価値を他者に決めてもらうこと
誰かと比べることで自分の価値をきめるのではなく、自分が自分であることに価値をおくべきです。
『個性とは、相対的なものでなく、絶対的なものなのですから』
仕事のタスクは信用の関係 交友のタスクは信頼の関係
仕事のタスクとは信用にもとづく人間関係であり、交友のタスクとは信頼にもとづく人間関係です。
信用とは、相手のことを条件つきで信じること
信頼とは、他者を信じるにあたっていっさいの条件をつけないこと
原則としてひとりで完結する仕事はありません。
どんな仕事も他者との協力の上に成り立ちます。
そしてその仕事の目的を達成するために、それぞれが役割を果たす必要があります。
例えば米を売るという仕事の場合。
農家の人が米を作り、それを市場まで運ぶ人がいる、店舗に並べる人がいて、それを販売する人がいます。
共通の目的があるため多少気が合わなくても協力できるし、むしろ協力せざるをえない関係であるのが仕事のタスクの特徴です。
転職したりすれば共通の目的もなくなるため、他人に戻ることもできます。
そういう意味では仕事のタスクが一番ハードルが低いと言えるでしょう。
しかしわたしたちは仕事に明け暮れるだけでは本当の幸せは得られません。
幸せとは、共同体の中に自分の居場所があると感じ、その共同体に自分が貢献しているという「貢献感」を持つことです。
わたしたちは幸せを得るために、交友のタスクに立ち向かわなければなりません。
同じ目的に向かい協力せざるをえない仕事での人間関係とは違い、交友はしなければいけないということはありません。
気の合う他者と自由に交友を深めることができます。
他者との交友を深めるためには、相手を信頼する必要があります。
相手を信頼できるかどうかは、相手を尊敬できるかどうかです。
われわれは交友において、他者の目で見て、他者の耳で聞き、他者の心で感じることを学ぶ(アドラー)
他者を無条件で信じ尊敬することが交友のタスクの第一歩であり、わたしたちが幸せになるための第一歩でもあるのです。
愛とはふたりで成し遂げる課題
仕事のタスクは他者と協力し目的を果たすための人間関係であり、
交友のタスクは他者を信じ尊敬することで生まれる人間関係でした。
では愛のタスクとはなんなのか。
本書にはこう説明されています。
『利己的に「わたしの幸せ」を求めるのではなく、利他的に「あなたの幸せ」を願うのでもなく、不可分なる「わたしたちの幸せ」を築き上げること。それが愛なのです。』
『「わたし」や「あなた」よりも上位のものとして、「わたしたち」を掲げる。人生のすべての選択について、その順序を貫く。(中略)「わたしたち」のふたりが幸せでなければ意味がない。「ふたりで成し遂げる課題」とは、そういうことです。』
つまり愛とのタスクとは、ふたりにとっての幸福を得ることことです。
なにもないところからふたりの意思で幸せを築きあげていくのです。
アドラーは、自立とは「自己中心性からの脱却」だと言います。
すなわち自立とは愛のタスクに向き合い、人生の主語を「わたし」から「わたしたち」へ変えることなのです。
誰かを愛するということはたんなる激しい感情ではない。それは決意であり、決断であり、約束である(フロム)
落ちる恋ではなく、築きあげる愛。
それはフロムの言葉の通り、固い決意をもとにふたちで手をとりあい成し遂げていく課題です。
そして愛のタスクを成し遂げたとき、「わたし」から解放され本当の幸せを手にいれることができるのです。
世界はシンプルであり、人生もまた同じである
しかし、シンプルであり続けることはむずかしい
幸せは、人生のタスクから逃げることなく立ち向かった先にあるとアドラーはいいます。
わたしたちが幸せになるためには多くの課題を成し遂げなければなりません。
大企業に入れば幸せになれる、結婚すれば幸せになれる、というものではないのです。
つねに人生の嘘に逃げることなく、課題と向き合うことが必要になります。
『われわれにとっては、なんでもない日々が試練であり、「いま、ここ」の日常に、大きな決断を求められているのです。』
アドラーはこうもいいます。
自分の人生は自分で選ぶことができる。
人生のタスクから目をそむけずに幸せに向かって歩み続ける勇気さえあれば、わたしたちは必ず幸せになれます。
そしてそれを決めるのはわたしたち自身です。
人生を複雑化し人生の嘘に逃げこまない勇気、幸せに向かい一歩ずつ確実に歩を進める勇気こそ、「幸せになる勇気」なのです。
大切なのは、なにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである(アドラー)
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最後までお読みいただきありがとうございました。
『嫌われる勇気』以上にこの『幸せになる勇気』の中には伝えたい要素が多く、どこを残しどこを削るか悩みました。
・幸せになるためには勇気が必要であり、その勇気とは人生のタスクから逃げずに立ち向かうこと。
・自立とは「わたし」からの解放、自己中心性からの脱却である 。
特に衝撃を受けたのはこの2点です。
幸せになることがこんなにも過酷な道のりだとは…
やはりアドラー心理学は手厳しいですね。
それでも人生のタスクに背を向けて逃げ回っていても本当の幸せにはたどり着けないんだなと気づかせれくれました。
気づいたうえで立ち向かうのか、逃げ続けるのかを決めるのもわたし自身であることも教えてくれました。
アドラーの教えをすべて実践するには時間がかかりそうですが、できるところから少しずつはじめてみようと思います。
まだ読んでいない方、再読したい方はこちらからどうぞ。